編集部レビュー
代々木の細道にあるアンコールワット、初めてのカンボジア料理の夜
編集部が自費で訪問しました 2008年訪問 掲載日 2026年8月31日 文・写真: 推し店編集部
初めての国の味を、金曜の夜に タイやベトナムの料理店なら街でよく見かけますが、カンボジアの味に触れるのはこの日が初めてでした。当時、代々木駅の西口から続く通りを1本だけ折れた細い道の先に、「アンコールワット」はありました。訪ねたのは金曜の夜…
初めての国の味を、金曜の夜に
タイやベトナムの料理店なら街でよく見かけますが、カンボジアの味に触れるのはこの日が初めてでした。当時、代々木駅の西口から続く通りを1本だけ折れた細い道の先に、「アンコールワット」はありました。訪ねたのは金曜の夜。店内は席がすっかり埋まっていて、10分ほど待ってから通されました。
数と歯ざわりで驚かせてくる皿
卓に並んだ皿は、まず数で驚かせてくるものでした。手のひらに乗るほどの春巻きが10個で650円、名前は特別小春巻なのですが、特別の意味は食べ終えてもわからず、中身の正体すらつかめないままです。記憶に残ったのは、衣のカリカリとした歯ざわりだけでした。同じ歯ざわりの話でいえば、400円の豚タンの煮付けは硬くも柔らかくもない中間で、ちょうどよい歯ごたえ。あっさりした味わいの分だけ、噛む感触が前に出てきます。
辛さの警告つきで出てきたのが、880円の牛肉たたきの辛いサラダです。注文を伝えると、オーナーらしきおじさんから「辛イヨ!」と二度も念を押され、さらに「ダイジョウブ?」と確認までされました。実際に口へ運んでみると、この程度なら私には平気な範囲。それよりも変わった形に切られたキュウリが目を引き、こってりと濃いめの味付けがクセになりました。
不思議な取り合わせが続く卓
取り合わせの妙、というより謎が続いた卓でもありました。750円の牛肉のサテーに添えられていたのは、どう見てもなます。肉そのものはおいしいのに、なぜこれが相方なのかは最後まで腑に落ちません。理由はわからないまま運ばれてきたスープも、その流れの一つ。こちらは骨ごと煮込まれてダシがしっかり出た、実においしい一杯でした。680円の五目炒飯もただただおいしく、トマトが入っているのも印象に残っています。
980円のカンボジア風お好み焼きは、名前から想像する姿とは別物でした。薄焼き卵かクレープに近い生地で、もやしと挽き肉が包まれています。仕上げにスイートチリソースがたっぷりとかかり、これがおいしいのです。好みは分かれそうですが、私は気に入りました。780円の蟹と卵のおかゆのほうは、意外にも普通の味わいです。
甘い締めくくりと、不思議なオーナーさん
締めに出てきたのは、ココナッツアイスを添えたかぼちゃプリン。これが飛び抜けておいしく、ココナッツとかぼちゃは相性がいいのだと知りました。これだけの量を2人で平らげてしまい、オーナーさんには「マダ頼ムノ?」と声をかけられてしまいました。
働いている方はみなアジア系で、カンボジアの方なのでしょうか。オーナーのおじさんはとにかく不思議な空気をまとった人で、こうした個性は好き嫌いが分かれる部分でしょう。私はすっかりツボでした。コースメニューはかなりの勢いで勧められますから、押し切られずに食べたいものを頼むのがおすすめです。もちろん、コース料理そのものはお得なのだと思います。私のいちおしは、やはり最後に出てきた甘い2皿。また足を運ぶ確率は5割、といったところでしょうか。