編集部レビュー
桜新町の6席カウンター【家庭料理 一】食堂とだかで培った技が光る和食
編集部が自費で訪問しました 2026年訪問 掲載日 2026年8月20日 文・写真: 推し店編集部
桜新町駅のすぐそば、6席のカウンターが主役 桜新町駅から歩いてすぐ、小さな一軒が「一(HAJIME)」です。店主の山崎祥平さんは、五反田で人気を集める「食堂とだか」で腕を磨き、そこから独り立ちしてこの店を構えました。 席はカウンターが6席ほ…
桜新町駅のすぐそば、6席のカウンターが主役
桜新町駅から歩いてすぐ、小さな一軒が「一(HAJIME)」です。店主の山崎祥平さんは、五反田で人気を集める「食堂とだか」で腕を磨き、そこから独り立ちしてこの店を構えました。
席はカウンターが6席ほど、そこに小さめのテーブルがひとつ加わるだけの、こぢんまりとした造りになっています。
店内はカウンターが中心で、店主がほぼおひとりで切り盛りされていました。
通りから眺めた構えは昔ながらの酒場といった風情ですが、扉を開けると落ち着いた空気が流れ、ゆったりと食事に向き合える場所でした。
開店してまもなく評判が広まり、今では予約の取りにくい一軒になっています。
私が伺った時点では、新しいご予約の受付は止めているというお話でした。
税込12,000円にフリーフローまで含まれる設定
おまかせのコースは税込12,000円。しかもドリンクのフリーフローつきで、中身を思えば価格以上の満足度がありました。
一皿ごとの量がしっかりあり、コースを終える頃にはお腹が満たされていました。
懐かしさとひと手間が同居する構成
献立の土台にあるのは和食です。実家の食卓を思わせるような「家庭料理」を柱にしつつ、それぞれの皿にひと手間の工夫が効いています。
味の輪郭は全体に穏やかですが、素材そのものの旨みはきちんと立っていて、重さを感じることなく最後の一皿まで進められました。
「とだか」を訪ねた経験のある方なら、皿の並びや組み立て方の中に、その面影を見つけられると思います。
お酒はコース込み、日本酒がずらり
お酒はコース料金に含まれていて、フリーフローで楽しめます。
料理に合わせた日本酒が順に注がれるほか、生ビールやサワー、焼酎、ウイスキーといったお酒も揃っていました。
別料金にはなりますが、シャンパンやスパークリング、プレミアムな日本酒を頼むこともできます。
日本酒の品揃えは幅広く、果実味のあるものから熟成タイプまで、いろいろな表情を味わえました。
和食を軸に遊び心が光るおまかせの流れ
新いくら、里芋マッシュポテト
里芋はねっとりとしてなめらかで、そこに新いくらがぷちぷちと弾けます。
やわらかな出汁の香りが、ふわりと立ちのぼりました。
子持ち鮎の甘露煮、栗ごはん
卵をたっぷり抱えた鮎の甘露煮の下から、ほくほくの栗ごはんが現れます。秋を感じる一皿でした。
鮎のほんのりした苦みに、木の芽の香りが重なります。
天然鰤、大根なます
炭火であぶった鰤は、香ばしさと塩気が印象的です。好みで辛子を添えていただきます。
粗めに刻んだ大根のなますが、鰤とよく合っていました。
ミスジしゃぶしゃぶ、きのこのお椀
椀の中には舞茸と、大ぶりのしめじ。
出汁にもきのこの香りがたっぷり移っています。
しゃぶしゃぶの火入れはレアめで、脂も軽やかなので、すっと食べられました。
茄子フライ田楽
揚げた茄子に、鹿児島産の豚味噌をたっぷりと重ねた一品です。
衣がカリッと香ばしく、なんとも言えず美味しく感じられます。
後からラー油を垂らすと、辛みと旨みが重なって、白いご飯が欲しくなる味わいに変わりました。
牛ほほ、上ミノのグラタン
ほろほろになるまで煮込まれた牛頬肉と上ミノ。
玉葱も入っているので、オニオングラタンスープさながらのコクがあります。とろけた熱々のチーズとの相性も抜群でした。
知覧紅茶で煮たおおまさり
紅茶で煮た落花生「おおまさり」です。粒が大きく、噛みごたえも十分でした。
煮穴子、きのこスクランブルエッグ
穴子も卵もとろとろで、噛む間もなく喉を通っていくようです。
穏やかな味わいで、全体がひとつにまとまっていました。
甘納豆チーズ
とだかさんの記憶が呼び起こされる甘納豆チーズ。
ブルーチーズの風味がくっきりと出ていて、甘さとしょっぱさのパンチが効いています。
ちゃんちゃん焼きごはん
秋鮭がごろごろと入っています。
一緒に炒められた野菜の甘みも加わり、気づけば箸が止まらなくなる美味しさでした。
芹にゅうめん
締めくくりは、ほっと落ち着くにゅうめん。芹の香りとシャキッとした歯ざわりが心地よいです。
満腹でも、するすると入っていきました。
栗アイス
デザートは栗の風味が濃いアイスでした。
下に敷かれたクランブルは、サクサクとした食感が楽しいアクセントになっています。
この日いただいた日本酒の顔ぶれ
味わいの異なる日本酒を次々と注いでいただき、大満足の時間になりました。
家庭料理 一(HAJIME)を訪れて
料理を存分にいただき、日本酒もあれこれ味わって税込12,000円というのは、納得感のある価格でした。
どの皿にも「家庭料理」という看板そのままの優しさがあります。
心がほっとあたたまる、そんなお店でした。