編集部レビュー
北千住の宇豆基野、出来立ての湯葉を軸にした予約困難な懐石
編集部が自費で訪問しました 2019年訪問 掲載日 2026年8月20日 文・写真: 推し店編集部
北千住の駅から歩いて、豆腐料理のお店「宇豆基野 本店」へ。読みは、うずきの。湯葉や豆腐を主役にしたコースをいただけますが、席を取ること自体が非常に難しいお店です。 理由は価格にあります。これだけの品数を3,000円で出すのですから、採算はど…
北千住の駅から歩いて、豆腐料理のお店「宇豆基野 本店」へ。読みは、うずきの。湯葉や豆腐を主役にしたコースをいただけますが、席を取ること自体が非常に難しいお店です。
理由は価格にあります。これだけの品数を3,000円で出すのですから、採算はどうなっているのかと心配になるほど。
予約は3ヶ月前に動かないと間に合いません。枠も土日の9時と12時の2回だけ。数えきれないほど電話をかけて席を押さえてくださった友人に誘われ、ようやく訪れました。
通されたのは、落ち着いた和の設えの空間でした。
三種の湯葉で幕を開ける序盤
まずは食前に、白桃と豆乳のジュース。とろみのある口当たりなのに後味は軽く、すっと飲み干せます。
続く先附は、汲みあげゆば・刺身ゆば・平ゆばの三種。合わせるのはたまり正油とオリーブオイル、正油あん、岩塩とレモン。席に着いた時点で、この一皿はすでに整えられていました。
固まり方の異なる三種類を、好みの調味料と合わせていただく趣向です。
写真は最もやわらかな汲みあげゆば。噛む必要がないほど、口の中でとろりと崩れます。三種で舌ざわりが違い、食べ比べる時間が楽しいです。
椀は清汁仕立て。鱧の葛打ちに玉子豆腐、冬瓜、叩きおくら、柚子が入ります。透き通ったお出汁は上品で、鱧は堂々とした大きさ。玉子豆腐はふんわりと香り、叩きおくらと梅肉が夏らしい清涼感を添えます。
焼物は生麩田楽。蓬麩と栗麩に、柚子を振った一品です。むっちりとした生麩はもともと大好物。甘みの強い濃厚な味噌をまとってもなお、生麩そのものの主張は消えません。
自分の手で湯葉を汲みあげる
このコースが面白いのは、出されたものを味わうだけで終わらない点。なんと、湯葉を自分の手で汲みあげさせてもらえます。初めての体験でした。
引き上げた湯葉には岩塩をひとつまみ。作りたてというだけで、おいしさが増して感じられます。しかも食べ放題。とはいえコースの量がしっかりあり、私は一度きりで精一杯でした。
豆腐はよせたて豆腐。豆乳ににがりを落とし、目の前で寄っていく過程を見せてくださいます。
仕上がった豆腐には正油あんがかけられて登場。大豆の香りが素直に立つ、やさしい味わいの一皿です。
一人前とは思えない量と、夏の釜飯
サラダは夏野菜と海藻。海老、烏賊の酒煮、ズッキーニ、ゴーヤ、トマト、茗荷、大葉が盛られ、梅ドレッシングが添えられます。まず量に驚きました。数人で取り分けるのでは、と思った鉢が、まさかの一人分です。
ここに梅ドレッシングを回しかけます。
野菜だけでなく、海老や烏賊まで入っているのが何より嬉しいところ。
食事は鮎御飯ととうもろこし。赤出汁と昆布の佃煮が付きます。釜のまま運んで見せてくださり、鮎がぎっしり詰まっていました。
器によそわれると、このような姿になります。
鮎ととうもろこしの取り合わせは、まさに夏そのもの。全員に行き渡ってもまだ余裕があったようで、おかわりする方も見かけました。
昆布の佃煮は、箸休めにちょうどよい塩梅でした。
甘味と珈琲で締めくくる
甘味は麩饅頭です。
一口で収まる大きさで、中にはあんこが入ります。
そしてわらび餅。ぷるんとやわらかなこちらも、作りたてを味わえます。
最後は珈琲でゆったりと。これで3,000円、しかも税込。価格からは考えられない内容と量で、恐れ入るばかりでした。心から満たされる懐石で、また伺いたいと思います。
予約のハードルが高いと感じる方は、店頭販売を利用する手もあります。湯葉や豆乳、生麩などが並び、こちらは予約なしで立ち寄れるそうです。
お惣菜もおいしそうでした。この日は後に用事があって買えずじまい。機会があれば、お土産に持ち帰りたいです。